レーシングネットは、横方向および前方斜め方向からの衝撃の際に、ドライバーの頭部と肩を横方向に拘束するように設計されています。レーシングネットがシャーシやセーフティケージに完全に取り付けられている場合、ドライバーのシートへの拘束も提供します。レーシングネットは、特定の取り付け位置で設計されたFIA公認の8862-2009シートに直接取り付けることも可能です。
レーシングネットはシートの両側に取り付ける必要があり、サーキット競技に参加するツーリングカーとグランドツーリングカーにのみ使用されることを意図しています。
レーシングネットを効果的に機能させるために、レーシングネットの取り付けと調整は、こちらからダウンロードできる「ツーリングカーおよびグランドツーリングカー用レーシングネット取り付け仕様書」に従って行う必要があります。
以下の項目では、FIA承認8863レーシングネット(Technical List n°48参照)とFIA公認8862および8855シートとの関連について、最も関連性の高い取り付け要件を紹介しています。
以下のビデオでは、レーシングネットの様々な側面と利点を紹介しています。
〈レーシングネットのメイントライアングルの位置決め〉
最適な保護性能を確保するためには、まずドライバーにFIA公認の8862または8855シートを正しく装着していただく必要があります(詳細はASN Safety Bulletin #7をご参照ください)。
そして、FIA公認のレーシングネット8863を図1のように装着し、上部のストラップはドライバーの目の位置に、下部のストラップはシートサイドの肩の位置に正しく配置されなければなりません。
この条件は特に重要で、レーシングネットが低すぎたり高すぎたりすると、横方向や前方斜めの衝撃の際に頭や肩を十分にサポートできない可能性があるからです。
図1:上部ストラップがシート側頭部より外側にある場合のレーシングネットの装着例 注:NOM寸法は目安です。
また、レーシングネットはドライバーの身体やヘルメットにできる限り近づけなければなりません。そのため、図2のように上部ストラップをシート・サイド・ヘッド・サポートの内側に通すことをお勧めします。
図2: アッパーストラップがシートサイドヘッドの内側にあることを示す写真、シングルフロントアタッチメントのデザインで示す(インターバルビュー、ただしデュアルフロントアタッチメントにも有効)
〈レーシングネットの装着〉
正しいネットをドライバーの正しい側に装着するように注意しなければなりません。ネットの水平方向のベルトは、ヘルメットの滑りをよくするためにドライバー側に、ネットの垂直方向のベルトはドライバーから離れたところに配置されるべきです。
〈クイックリリース装置〉
ドライバーがシートベルトを締めてレーシングポジションに座ったとき、両方のネットのクイックリリース装置に手が届き、開けることができること。また、クイックリリース装置の位置は、救助隊員が容易にアクセスし、開けることができるものでなければなりません。
〈デュアルフロントアタッチメント〉
デュアルフロンタルアタッチメントは、レーシングネットの取り付けをより簡単に、より自由にすることで、ほとんどすべてのタイプの車のコックピットに適応させることができるようになりました。ただし、安全性を確保するため、図3に従ってレーシングネットを設置する必要があります。
図3:デュアルフロントアタッチメント搭載のネットの位置決め
〈固定シート用リアストラップの取り付け〉
レーシングネットのフロントストラップとリアストラップの取り付けを上から見ると図4のようになります。
図4:フロントストラップ、リアストラップの取り付け
〈スライドシートのリアストラップ取り付け〉
互換性を確保するため、リアアッパーストラップ、リアミドルストラップ、リアロワーストラップのそれぞれは、図5に示すように、車の縦軸と平行に最小10°の角度でロールケージ(またはシャーシ)に取り付けることができます。
車の縦軸と平行 ± 6° TYP
図5:フロントストラップとリアストラップの取り付け
〈レーシングネットの張り方〉
レーシングネットの張力は、レーシングネット取付仕様書に記載されている通りとし、緩まないようにすること。